フレックスタイム制度とは

フレックスタイム制度は、始業・終業時間を社員自身がある程度自由に決められる働き方です。コアタイム(必ず勤務する時間帯)を設けている場合もあれば、完全フレックスとしてコアタイムなしで運用されているケースもあります。

経営目線でのメリットとデメリット

企業側の視点で見ると、以下のようなメリットが考えられます。
・生産性の向上
 個々が最も集中できる時間帯に業務を行うことでパフォーマンスが上がる
・離職率の低下
 生活スタイルに合わせた働き方が可能になり、社員の満足度と定着率が向上
・多様な人材の確保
 育児や介護、学業、副業などの事情がある人でも柔軟に働ける

一方で、デメリット・課題もあります。
・マネジメントの難しさ
 勤務時間がばらつくため、業務の進捗管理やチーム内コミュニケーションに工夫が必要
・公平性の担保
 制度を活用しやすい職種やポジションと、そうでない人との間に不公平感が生じないような配慮や運用ルールの整備が求められる
・運用コスト
 勤怠管理システムや業務フローの整備が求められる

とはいえ、うまく制度が機能すれば、「人を活かす」企業文化の一環として非常に強力な手段になるのは間違いありません。

助かる!子育て世代のフレックス活用例

次に、フレックスを活用する側の目線をお届けします。私は現在、4歳・1歳の子どもを子育て中で、リモートワーク中心、フレックス制度を利用しながら勤務しています。正直に言えば、フレックスがなければ今の生活は成立しないと感じる場面が多々あります。

■ 平日イベントとの両立が可能に

育児中の家庭では、平日にも行事がたくさんあります。たとえば我が家では、

・保育参観(年2回)
・面談(年1回)
・給食試食会(年1回)
・各種健診(1歳、1歳半、3歳など)
・歯科検診(年3回)

といった予定が平日昼間に組まれています。
「終わり次第すぐに仕事に戻れる」という柔軟な勤務体系があると、収入や業務への影響を最小限に抑えつつ、子どもともきちんと向き合えるのです。(しかし実際は、行事を終わらせた後子どもを保育園に送るのが保育園のルール上できなかったり、「今日休みかと思ってたら保育園なの!??」と子どもが大泣きするので諦めて休暇を取ってしまっていますが。。)

■ 細切れ時間でも仕事ができる

どうしてもやりたい作業があるとき、早朝や夜間など規定の範囲で柔軟に働けるのはありがたいです。家庭の都合を優先しつつ、自分のリズムに合った時間で成果を出せるのは、モチベーション維持にもつながっています。

■ 最大の恩恵は「始業時刻の柔軟性」

朝は出発するだけで一仕事。正直、朝で体力気力の9割を使っている気分です。

・朝食準備&片付け(食べ散らかしがやばい。ほぼ毎日スープまみれor牛乳まみれ)
・子ども2人の着替えやオムツ替え(逃走されながら)
・保育園の荷物準備・連絡帳記入・髪を結ぶ・日焼け止め・虫よけなど細かい準備
・自分の支度は最低限で済ませ、玄関で「行くよー!」と叫ぶ
※後追い期・イヤイヤ期には難易度が数倍に増します。

↑ちなみにこれは、朝やることを減らす以下の工夫をした上でのカオスです。
・洗濯乾燥機を利用。洗濯物はたたまない。
・食べこぼしをすぐ拭けるよう、ラグは使わない。
・食洗機もフル活用。
・朝ごはんメニューは固定。
・保育園の持ち物は前日にできるだけ準備。
・保育園の連絡帳は前日にできるところは記入。

玄関を出てもカオスは続きます。1歳児が
・階段を自分で降りたい
・救急車を見に消防署に行きたい
・葉っぱを触りたい
・小石を探したい
・道路に座りたい
と主張。抱っこで進もうとするとのけぞりひっかいてくる。4歳児はその待ち時間にブーブー言う。これらを受け止め、保育園に着くとしがみついて離れなくなる子どもをなだめながら、なんとか送り出すのが毎日のミッションです。

「朝バタバタするなら、早く起きればいいのでは?」と思うかもしれませんが、それにも罠があります。
まず早起きすると親子ともに睡眠時間を削ることになる。(先に自分だけ起きて朝食や自分の準備を済ませておきたいが、こっそり起きても察知してなぜか起きてくる。。)睡眠不足の子どもは機嫌が悪くなりがちで、準備はますます難航します。
また、早く起きて時間に余裕ができすぎると、子どもの本格遊びが始まります。一度始まった遊びを中断させ、「そろそろ保育園行こう」と声をかけるのは至難の業。
せっかく余裕を持っていたはずなのに、最後の出発で大きなエネルギーを使うことになることも少なくありません。

保育園によっては登園予定時刻より遅れるときは電話が必要な場合もあり、連日の遅刻連絡が親の自己肯定感を削っていきます。
そんな中で「会社にも遅刻連絡を入れなければならない」状況だったら、心が折れてしまいそうになります。
でもフレックス制度では、始業が予定より遅れてもある程度は吸収できます。フレックス制度は、遅刻連絡による“精神的ダメージ”から自分を守ってくれる仕組みでもあるのです。

おわりに

私自身、フレックス制度があったからこそ、出産・育児を経ても働き続けられています。制度があるだけでなく、それを使える空気があることもまた重要です。
今後、チームや会社として制度をどう設計していくかは簡単ではありません。でも、子育て中だけでなく、介護、病気、学び直しなど、ライフステージに応じて働き方を選べることは、組織にとっての大きな強みになります。
そして私は、この制度に支えられながら働く一人として、周囲の誰かが制度を活用しやすくなるような環境づくりにも関わっていけたらと思っています。


参考

フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き(厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署)
https://jsite.mhlw.go.jp/gunma-roudoukyoku/content/contents/000381471.pdf

フレックスタイム制とはどんな制度?仕組みやメリット・デメリットを詳しく解説 – リクナビ就活準備ガイド
https://job.rikunabi.com/contents/howto/word/14155/